漫画家、谷口ジローさんが死去されました。
山登りが趣味の先輩から、夢枕獏原作、谷口ジロー作画の「神々の山嶺」を借りて、
読んでた最中だったので、驚いています。
谷口ジローさんは「『坊っちゃん』の時代」や「孤独のグルメ」の作画でも有名な方で、
僕は一時期前にベルギー・フランスの漫画の総称を指すバンド・デシネが再評価されていた時に、
代表的な作家メビウスを知り、「アキラ」の大友克行経由で谷口ジローを知りました。
僕も学生時代は漫画家になりたくて、
いろいろ描いたり、応募したりしたものの、箸にも棒にもかかりませんでした。
そんな少ない漫画を描くという経験の中でも何度か壁にぶつかったことがあります。
例えば、石をどう描くか、という問題。
石を描くときに、この石の組成はなんなんだろう、この場所にあるべき石はなんだろう。そしてその石をどうやったら描けるのか。
漫画を描くには世界のすべてのことを知っていなければならないのではないか、と途方にくれたことがあります。
一つのものを書くのにリアリティを出す、
というのには圧倒的な情報量とバックボーン、そして美術の腕が必要ですね。
谷口ジローさんの精緻な絵はしっかりその組成を把握しているような、
リアリティがあり、漫画の腕は最高峰です。
おそらく「この漫画に描かれている建物の様式は何ですか?その建築材は?」
という質問にも答えられるんじゃないか、と思うようなリアリティです。
(そしておそらく答えられるんでしょう。)
僕もそういった高いレベルの仕事ができるようになりたいなあ。