僕の師匠の奥沢さんがTuck Andressさんに言われた言葉。
"Mess up your music ! "
僕なりに意訳すると
"音楽をしっちゃかめっちゃかにしろ!"
レコーディングの時には細にわたり練り上げたアレンジメントを、ライブの際に自由にインプロヴァイズしているタックアンドレスさん。どうやればTuckさんのように自由に演奏できるのか、と聞いたときの答えだそうです。
Feelingやセオリー、フレーズなどのワードが出ずにMess Upという語を選ぶところにTuckさんのインプロヴィゼーションに関する哲学の一端が出ていると思います。Mess upという言葉の中には失敗する、という意味すら含まれていますが、それを恐れずに演奏中の閃き、アイデア、そしてミストーン(Tuckさんはファニートーンと呼ぶ)でさえも意味のある音に変えてしまう自由な演奏は真のインプロヴァイズに近いように思えます。
歌舞伎の世界で「形無し」と「型破り」の違いのように、確固としたベースのアレンジと高いレベルでの基礎テクニックがあるからこそあのように自由な演奏、既存にない型破りな演奏が出来るんですね。基礎がないと本当にMess upするだけの形無しになってしまいます。
あのような自由な演奏を見て、またその言葉を聞いて、僕は逆説的に基礎のテクニックの大事さを知ることが出来ました。日々のデイリートレーニングを組み直そう!