楽曲のアレンジを考える時、僕はまずどういうスタイルやグルーヴで演奏するか、そしてハーモニーと編成をどうするかという事を考えます。ちょっと難しい話になってしまいますが今回はハーモニーに焦点を当てて考えていきます。
楽曲の雰囲気をがらりと変えたい時の手法にリハーモ二ゼーションという考え方があります。元のコードから違うコードへとアレンジする手法なのですが、どういった思考回路で変更しているのか考えてみました。
まずは元となる楽曲にどのような機能のコードが使われているかをアナライズしていきます。例えばThe BeatlesのThe Long and Winding Roadの最初の4つのコードを参考にしていきます。
元のコードはこちら、[Cm Gm A♭ A♭/B♭]です。これをアナライズすると[VIm IIm IV IV/V]というコード進行になります。
コードの機能でいうと[Tonic SubDominant SubDominant Dominant]です。
まず最初は機能ごとにコードを差し替えてみる方法論でリハモしていきます。最初のIVmのコードを同じTonicの仲間のIMaj7に変更します。これで伴奏しながらまずは歌ってみます。なんだか明るい雰囲気になりました。もう少し曖昧な響きにしたいので、ここでコードの音を一音だけ変えてみます。IMaj7からIMaj7add9thに変更します。中々素敵な響きに変わりました。IMaj7add9thは違う呼び方でV/Iのオンコードですね。次はそちらのコードからもっとコンテンポラリーな音に変えていきたいのでベースをVIに変えて、V/VIに変えてみます。フォースの音が強調されたコンテンポラリーな音に鳴りました。こういった具合でどんどん機能から遠ざかっていくとコンテンポラリーな音になりますが、原曲の良さから遠ざかっていきますので注意が必要です。このような思考回路をたどっていくと新しいコードを使ったThe Long and Winding Roadが出来上がります。
次の方法論ではアプローチノートを使ってコードをリードしていきます。VIm IImという最初のコードの流れをIImへのアプローチと捉えIImに解決するII-V-Iの流れを作ります。IIIm7♭5 - ♭III7 - IIm7という流れを作ります。これに合わせて歌うとメロディが歌いにくいのでトップノートをメロディの音に変えていきます。そうするとIIIm7 11th - ♭III7 11th -IIm7という流れが出来ました。この作業を拡大解釈していくとコードの中にメロディの音が内包されていれば機能に関係なく何のコードを使っても良い、という考え方も出来ます。勿論そうしてアヴァンギャルドな音楽を作る事も出来ますが、リスナーがついていけない音楽になってしまいがちなので、歌ってサウンドをチェックしながらアレンジをしていかないといけません。
今回整理したリハモの方法は全部で3つです。一つはコードの機能は変えないまま違うコードへ変更する方法。もう一つはアプローチするコード、名前を付けるならばターゲットコードを決めてそこへのアプローチするコードを自由に決める方法。最後はメロディがインクルードされているコードならばなんでも良いのでフリーに決めていく方法です。一番簡単でエフェクティブなのはコードの機能は変えないまま違うコードへ変更する最初に説明した方法ですので、是非トライしてみてください!