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TUCK & PATTI LIVE at CottonClub 2011
先日、東京コットンクラブにてTUCK & PATTI(タックアンドパティ)のライブを見てきましたので、レポートをしたいと思います。
コットンクラブの広いステージの真ん中、その奥にぽつんとテーブルが置かれ、その上には花が飾られています。その前方にはエフェクターボードが置かれ、少ない機材とヴォリュームペダルが収まっています。本当に最小限のセット。TUCK & PATTIがこの機材を持ち何十年間も共に世界中をライブしてまわってるのか、と想像していると、会場の照明が落とされついに二人の登場です。
ボーカルのPATTI・CATHCART(パティ・キャスカート)がギターのTUCK・ANDRESS(タック・アンドレス)に目配せをし、「ZU」と1音発しただけでTUCKのギターがPATTIのボーカルのグルーヴにインテンポで入ってきて、One For Allが始まります。さすが30年近く共に暮らし演奏してきた夫婦デュオ、完璧なコンビネーションです。
初めてTUCK & PATTIを見たときは3、4年ほど前のBLUENOTE東京だったと思うんですが、その時は僕もギタリスト目線で世界最高峰のソロギタリストがいったいどんな風にギターを弾くのか、一挙手一投足を見過ごすまいとTUCKの手元ばかり見ていました。
今回も勉強もかねてギタープレイを見過ごすまい、と思っていたのですが、1曲目からどちらかと言うとPATTIのボーカル、ステージングから目を離せなくなってしまいました。歌詞を、そのメッセージを観客に伝えようと一人一人の目を見て、手ぶりを交え伝えるPATTIのステージングはまるで宣教師のようで、ああこの人は芯からのメッセンジャーなんだな、と思わせるパフォーマンスでした。
音楽を聴く時、僕は楽器奏者にありがちでその歌詞に注意を払う事があまりありません。そんな僕でもこの人は何を伝えようとしているのか、とその歌詞、メッセージに耳を向け、理解しようと務めさせる、そのPATTIの力には恐れ入るところです
坂本龍一は歌を歌詞として捉えず、音列(メロディライン)として捉えている、と何かの本で読んだ事があるのですが、そういった捉え方でつくられている音楽は空虚とまではいかないも、がつんとこない、暖かみのないものになってしまう気がします。勿論、坂本龍一の音楽はその冷たい工業的な手触りがいい効果を生み出しているのでしょう。
TUCK & PATTIは冷たい手触りのない、暖かい音楽を奏でてくれます。TUCKは素晴らしいギターテクニックを独善的に使わず、出しゃばらずにPATTIのボーカルに優しく寄り添って支えています。そしてPATTIはその音楽に乗ってメッセージを観客に伝えてきます。ライブも終盤、シンディローパーの名曲、TIME AFTER TIMEの伴奏に乗せ、I am calling youと歌いながら、「今日、この瞬間からまず自分を愛しなさい」と観客一人一人に訴えていくPATTIの姿。そこにはメッセンジャーたる姿が確固としてありました。
全てのボーカリスト、メッセンジャーを自任する人は彼らのステージングを見るべき!というか見て欲しいです。
今年はまだブルーノート東京で5.21sat.-5.22sunのステージがありますので、お時間のある方は是非行ってみてください!
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