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A Guitar with story

先日、池ノ上のThe Guitar Loungeに僕のギターの師匠のAcousphereの奥沢さんとともにお邪魔してきました。The Guitar Loungeの店長さんと奥沢さんは面識はありませんでしたが、Acousphreが使用しているギターOperaの製作者のタク・サカシタさんを通じてお名前は伺っていたとの事、お二人の会話がサカシタさんのギターを中心に展開していき、貴重なお話を聞く事ができました。

もともとサカシタさんのギターをAcousphereのメロディをとるメインの楽器にしよう、という事で購入しガット弦に改造したのはAcousphere奥沢さんの師匠であるTuck&PattiのLiveでの競演のためだったとの事ですが、その縁もあり後日サカシタさんをAcousphereのお二人でインタビューするというYahooのguitar Laboでの企画に繋がっていったわけです。その時のインタビューはこちら。http://topic.auctions.yahoo.co.jp/music/guitarlabo/guitar_maker/sakashita_01/ 

タク・サカシタさんはロベンフォードや有名ミュージシャンたちが愛用したギターの製作家で、世界的注目を集めていた矢先にアメリカ・カリフォルニア州サンタローザの郊外で事件に巻き込まれて非業の死をとげました。サカシタさんはTuck&PattiのTuck Andressモデルのギターも制作途中だったとの事、何年もまたいだプロジェクトでしたが、完成を待たずしてサカシタさんが亡くなられ、そのギターは完成の日の目を見る事はできなくなってしまいました。そのKarizumaベースの完成前のギターを使ってTuckさんはサカシタさんの葬式の献花の際にソロギターを演奏されたそうです。 

店長さんからは、そのサカシタさんとの出会いや人柄、制作されたギターの語られなかったストーリーなどを色々聞かせていただきました。特に印象に残ったのは生前サカシタさんがおっしゃられていた話はすべて誇大ではなく、過不足無く真実だったという事です。損得勘定はせず人のつながりで仕事をするまさに職人気質だったというサカシタさん。 

色々なお話を聞かせていただいた後に奥沢さんがサカシタさん制作のKarizumaを試奏されました。そこでのTuck AndressさんのEuropeを弾かれたのですが、すばらしい音、すばらしい演奏でした。 

サカシタさんにまつわる世界的な栄光と悲劇のストーリー、そしてTuckさんの完成されないままになってしまったKarizumaベースのギター、そしてTuckさんの演奏を引き継ぐ奥沢さんがKarizumaを演奏する。そんな場所に立ち会えて、本当に光栄でした。

 サカシタさんはその生涯で約150本のギターを作られたそうです。その1本1本がすべて手作業で作られ、何一つとして同じギターは無いとの事。たった1本のギター。しかし魂をこめて作られたギターであるからこそ、そこにストーリーが生まれ、そしてそれが連綿と続いていく。その日は僕には到底扱えない、遠い過去から連なるストーリーがそこには流れていましたが、その場所に立ち会え、そしてそれを眺めるオブザーバーとして参加させてもらえた事を光栄に思います。 

そのストーリーにまだ先がある事を願って。

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