レコーディングスタイルの違い!

最近はレコーディング三昧で日々を忙しく過ごしています。今は3つのレコーディングを通して様々な事を学んでいます。

一つ目はクラリネット奏者犬井彩夏さんとのレコーディング。これは先に僕が完成形のトラックを作り、その上で犬井さんにラインを吹いてもらう作業です。ライン自体は僕も打ち込みで作っていますが、犬井さんにはほとんど自由に作ってもらっています。そのために2人で行うレコーディング自体はものの数時間で終わってしまいます。(ベーシックトラックにはその数十倍もの時間を使ってはいますが。)
このレコーディングでの僕の意図は、違うもの同士が作るグルーヴや音楽に対する齟齬をわざと作ることです。1人で作ったトラック自体はそれでもう完成していたのですが、そこに複数の人間が音楽する時のずれや、暖かみを感じたかったので、もう1人メンバーを入れて、自由に吹いて頂きました。その効果はかなり出ているんじゃないかと思っています。
このは僕がすべてディレクションした作品ですので、僕の持ちうる技術と知識を詰め込んだ作品になりました。

二つ目はギタリスト林本陽介くんとのレコーディング。これは2人でゆっくり丁寧にパンチインを繰り返して、数週間かかり出来た完成形の伴奏のトラックを、一度捨て、今度はそれを1日で録る、という作業をしました。これは日を跨ぐ事によって起こった音色のずれや空気感を嫌ってのこと、そして1日で録る勢いを重視しての事です。作業は朝から深夜までの長丁場となりました。僕のディレクションで林本くんのトラックを作ったのですが、音色を重視する僕に対し、ドラム的なグルーヴを重視する林本君とのぶつかり合いでかなり良いトラックが取れました。パーカッションのオーバーダブを想定していたのですが、必要なさそうなぐらいクオリティが高いですね。
そこから日を改め、僕のメロディパートをこれまた丸1日がかりで録ったのですが、林本君のディレクションでかなりウクレレの歌い方にこだわった作品になりました。弾き方自身は僕が選んで演奏してはいるのですが、そこに林本くんの音楽に対する視点が入ってきて、自分だけでは生み出せない素晴らしい音になったと思います。二人の視点の入った、まさに共作といってふさわしい音源になったのではないでしょうか。

そして現在行っているのが、Acousphere奥沢茂幸さんとのレコーディング。こちらは完全に奥沢さんプロデュースで、演奏方法も奥沢さんが考案して、それを僕が見て覚え、録音する方法をとっています。ですので事前の用意はいっさい無しで、スタジオにこもり、短いフレーズを何度も録っては、プレイバックし、また録りなおしています。進むスピードはかなり遅いのではないでしょうか。
この作業はまるで自分が誰かの絵筆になったような感覚です。インプットからアウトプットの間の濾過器になったような感覚で、おそらく翻訳の作業が一番近いのではないかと思います。
誰かの書き上げた外国小説があり、それを自分という濾過器を通して、日本語に流し込む。これを音楽的におこなっているような作業ですが、初めての感覚で興味深いですね。
自分という濾過器を通した事により、新しい比喩や新しい文体を手に入れることができる。非常に有意義な時間です。

このように全く違うスタイルのレコーディングを経験することによって、これまでにない新しい感覚を取り込めそうです。頑張るぞ!

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